2001年に翻訳してもらったものです
呼び名あれこれ コイケルホンド コーイケルホンチェ コーイケルホンディエ ダッチデコーイスパニエル |
オランダ原産のあひるやカモのおとり猟に使われる犬。 鉄砲のない時代から 鳥をその尻尾でおびき寄せ、あるいは網に追い込む。 このトーリング猟(フラッシング猟?)に使われる犬は コーイケルホンディエとカナダのノバスコシアダックトーリングレトリバーの2種。 |
スタンダード |
体高:肩の高さが約35〜40cm 体重:10kg前後 特徴:以前から、そして今もアヒル〔カモ〕のおとり猟で見事に働いている、この小さなスパニエルは活発な気性を持った本当にスポーツ好きな犬である。調和した体、輝く毛、素敵な色、豊富な飾り毛を持っている。 一般的な外観:四角に近い体をもった、機敏なまだらの犬である。 豊富な飾り毛のある尾、上を向いた頭をもつ。 重要部分の寸法:体の長さは肩の高さよりわずかに長い。 スカル(頭部)の長さはマズルの長さとほぼ同じ。 気質:各家庭環境によっても決まるのだが、明るく、しかし騒々しくはない。 フレンドリーで、気立てがよく、機敏である。 (注:「alert」には「機敏」の他に「警戒心が強い」の意味もあります) 頭部: スカル:十分な幅があり、適度にドーム型である。 ストップ:はっきりしているが、深すぎないこと 鼻:黒 マズル:横から見たとき、深すぎないこと 唇:垂れ下がっていないこと 頬骨:しっかり肉付いていること 模様:ブレーズがあるほうがよい。頬は色がついていること。 目:アーモンド形。友好的な濃い茶色。機敏な印象 耳:中ぐらいの大きさ。鼻先から目の角にかけてのラインより少し上に位置する。 白くないこと。頬近くに垂れている。長い飾り毛や、黒い先端部があるほうがよい 歯:「scsseors bite」「pincer bite」がスタンダードで認められている 首:まっすぐで、筋肉がよくついていること 身体: 背:強い 胸:あばら骨に十分なそりがあり、深い。 尾:背ぐらいか、それよりわずかに上に水平に持ち上げられている。カールしていないこと。 白い飾り毛が豊富についていて、尾の最後の骨が後足の膝に届く。 脚と足: 前脚:まっすぐであまり飾り毛が多すぎないこと 臀部:太ももの長い飾り毛は後足の膝より下に達すること。足根骨の関節は十分な角度があること 足:小さくて足の指が閉じていること。短い毛で覆われている コート: 毛:中くらいの長さでわずかにウエーブがかかっているかストレート。 カールしていたり、ぴったり引っ付いていたりしないこと。 毛はあまり細すぎないこと。 アンダーコートはよく発達していて簡単に管理できること 色:はっきりしたクリアなオレンジか赤い斑が白地にある。色目は目立つこと。 黒白や、三色の犬は認められていない。 足取り・動き:流れるようで軽快であること。ステップしてはならない(?) 注:オスは外観上正常に陰嚢に2個の睾丸がおりていること |
性格・気質 優しく元気な気質によっては明るい家庭犬になる。 オランダの画家ジャン・スティーンの絵にはコーイケルホンディエが昔、家族生活に欠かすことの出来ない役割を果たしていたことが描写されている。 この品種は幸福で自信があり、また見知らぬ人や犬に対しては用心深い。 攻撃的であったり非社会的であったりはしない。 多少時間がかかっても、いったん誰かに慣れると、 コーイケルホンディエはその人にとって常によき忠実な友となる。 この品種の用心深さを克服し、 潜在的な問題行動を防ぐカギとなるのは、社会化であり、早くに始めるべきである。 コーイケルホンディエは本来狩猟犬であるため、アウトドアを好み、規則正しい運動は彼らを幸福にする。 昔から、アヒルをおびき寄せない時、コーイケルホンディエは屋敷を見張り、モグラやネズミを忙しく狩ってきた。 このため、コーイケルホンディエはほとんど疲れ知らずで、いつも忙しくしており、刺激を必要とする活発な精神をもっている。 あなたが最もやってはいけないこと、それはコーイケルホンディエを退屈させることだ。 退屈すると、彼らは駆り立てられるように「仕事」を発明する。 彼らが提出する「仕事」をあなたはありがたくなく感じることだろう。 良い点としては、鋭い学習能力と高いエネルギーによってアジリティーやオビディエンス、狩猟などで秀でることが出来よう。 コーイケルホンディエは良い番犬(うるさくはない)になり、 また人の中にいるのを好むため良いコンパニオン・ドッグになる。 オレンジ公ウィリアム2世王子の暗殺が企てられた時、彼は、彼の忠実なコーイケルホンディエ「Kuntze」に起こされて助かった。この事件で、コーイケルホンディエはオランダの人々の心をとらえた。 この品種の過敏さ、そして大概の場合不必要なハンドリングを嫌がるということから、小さく、抑制のきかない子供の遊び相手にコーイケルホンディエは勧められないと言われている。 しかし、たいていの犬と同じく、子供と一緒に育てられ、子供、犬双方に互いを尊重することを教えられた場合、コーイケルホンディエは子供を好きになる。コーイケルホンディエを家族のペット候補から外す理由はないだろう。 |
歴史 コーイケルホンディエはオランダに起源をもつ古い犬種である。 コーイケルホンディエは16、17世紀ごろから絵画のなかに登場するようになる。 しかし、1966年6月18日になってやっと公式に認定された犬種となる。 彼らは本来カモ(アヒル)を罠におびき寄せるために飼われていた。 不運にも、第2次大戦の終わりごろにはアヒルを家畜とする家が減り、コーイケルホンディエは仕事を失いほとんど絶滅寸前になった。 たった25頭のコーイケルホンディエだけが残った。 1939年Hardenbroek van Ammerstol男爵夫人はこの小さなコーイケルホンディエを復活させることを決心した。男爵夫人は一人で広大な屋敷に住み、犬に人生を捧げていた。 彼女はかなり風変わりな女性で、犬を夕食に同席させた。 犬たちはそれぞれ自分の椅子に座って彼女と同席した。 第2次大戦中、多くの連合軍のパイロットがドイツ軍から逃げるのを男爵夫人は助け、ベルギー国境へ続く森を通り抜けるガイドとして彼女の犬を使った。 男爵夫人はまた、他のオランダ犬を救いもした。(このほかにもキースホンドなども復活させた) コーイケルホンディエを復活させるために、男爵夫人は理想的な犬の詳細な描写を用意し、旅するセールスマンにこの基準に合う犬を探すよう頼んだ。 そして、ついに彼女の努力は報われ、Tommyという名の雌犬がFrieslandという北の地方の農園にいるという知らせをうけた。男爵夫人はFrieslandへ行き、Tommyが確かに描写と一致していることを知って喜んだ。 農夫はTommyを売らなかったが、幸運にもブリーディングに貸し出すことには同意した。 TommyはGeldropにある男爵夫人の家に連れてこられ、男爵夫人はTommyに合う雄犬を探し始めた。 そして、Bobbieという名のふさわしい犬を探し当て、Tommyに最初の出産をさせた。 この出産でたった一匹の雄が生き残り、男爵夫人はこの犬にBernhard van Walhalla(van Walhalla は犬舎名)と名づけた。 1943年、TommyはBennieという新しい雄犬との間で2度目の出産をした。 この出産で4匹の雌犬が生まれ、Tommyとオランダの幼い皇女たちにちなんでTrix,Irene,Margrietje,Tommy2世と名づけられた。(これは男爵夫人がかなり大胆であったことを示す。1943年からオランダはナチスドイツに占領され、王室に関する発言は完全に禁止されていたからだ) 男爵夫人はこれらの雌犬にふさわしい雄犬を探し、農家や個人宅でそれらの雄犬を見つけ出した。 Tommyはさらなる出産をするには年をとりすぎたため、Frieslandの農家に返された。 収穫者が偶然殺してしまうという悲しい事件が起こるまで、彼女はそこで暮らした。 やがて、他の人たちがコーイケルホンディエのブリーディングに関心を持ち始めた。 Tommyの子孫に当たる犬や、描写に合う雑種やBosmaという名のおとり猟師が飼っていた2匹の犬を使い、彼らは完全な犬を作り出した。 1966年、The Raad van Beheer(犬種を公式に認可するかどうか決めるオランダの学会)は暫定的な証明書を発行することを決めた。判定に合格した犬には証明書が認められた。Nico(Margrietjeの孫)は暫定的証明書を認められた最初の犬であり、現在のほとんどのコーイケルホンディエの血統の元になっている。 1971年12月20日、遺伝子のプールが十分に確立されたという最終認識を受けた。 この瞬間から、証明を受けていない犬はブリーディングに参加させてはいけなくなった。 |
トレーニング コーイケルホンディエは過敏で知的であり、強い個性をもつ。このため、一貫した堅固なトレーニングを優しい声で行う必要がある。コーイケルホンディエにどなっても、成すところは少なく、良いことより、弊害を生むだけだ。クリッカ−トレーニングは高く推奨されている。この犬種は陽性強化や、フードに対しての反応が良い。 出来る限り早くにトレーニングを始め、それを楽しいものにすること。 あなたが犬にして欲しいようなこと(伏せなど)を、犬が自分でやった瞬間を利用し、コマンドを出しながら褒めること。すぐに、犬はコマンドから行動を連想することを学ぶであろう。 一般的に、トイレトレーニングは5〜8週令で始められると言われている。6ヶ月令を過ぎるころまで完全にはならないこともあるかもしれない。早くに始めれば始めるほど、彼らは早くに理解するようになり、失敗もへることだろう。 たいていのコーイケルホンディエは活発で、理性を使うのが好きである。コーイケルホンディエに向いている活動のリストをつけておく。 ・鳥を飛び立たせる(基本的に遊びとして) ・レトリ−ブ(よく教えられている場合) ・トラッキング ・アジリティー ・オビディエンス ・ドッグショー ・ダンス(オビディエンスを巧みな操作で音楽にあわせる) ・水遊びや水泳 肉体を激しく使う活動の場合、きちんと管理し、犬を傷つけることを避けること。 子犬は6〜8ヶ月令になるとアジリティーのトレーニングを始めることが出来るが、ジャンプはトレーニングから外すこと。最初の1年は、まだ成長中であり、骨や関節はまだ固定されていない。深刻な危険性、慢性的な怪我を避けるため、脚や背骨や関節を極度に使う活動は1歳までは行わないこと。 ショードッグ用のトレーニングは子犬を手に入れたらすぐに始めることが出来る。 かなり押し付けがましいやり方で、他人がハンドリングすることに子犬を慣らす必要があるため、社会化と共に始めること。普通の人とは違って、ジャッジの人は犬の口の中を覗き込み、体中を触る。犬はこのことを許容し、ジャッジの手からモゾモゾ逃げ出してはならない。飼い主、他人の両方から優しくハンドリングされ、褒められることを重ねていけば、犬はこの検査に慣れていくだろう。 あなたが参加したいと決めた活動について、あなた自身とあなたの犬の両方をトレーニングしてくれる、地域の良いトレーナーを探すことを真剣に考えること。 コーイケルホンディエが敏感な犬種であることを忘れず、確実にあなたの犬に合っていると思えるトレーナーを注意深く探そう。 |